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作品ID:424

こちらの作品は、「感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約2327文字 読了時間約2分 原稿用紙約3枚


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小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

青空の向こう側へ

作品紹介





いつか書いたもんの続きというか、分岐した未来の一つです。






「おはよう悠一。毎日懲りないわね」

「みこ、それ酷いよ……」

「いいじゃない、明日で退院なのよ?」

「そうだね、これでもう命の心配はなくなったし、好きなだけでー」

「うるさい」

 でた、みこ得意の辞書殴り。角で殴るから凄く痛い。毎度思うのだけど、彼女はどこからその辞書を取り出すのだろう? みこ七不思議のひとつだ。

 僕はみこの病室にお見舞いに来ていた。もう11月も終わり、この島には冬はとっくに訪れていた。僕はというと、学校サボって自分の恋人である東雲みこと楽しい時間を過ごす単なる馬鹿な学生だ。

 今日だって朝から学校いかずにお見舞い。彼女は甘い物が嫌いだからお茶を持っていったら喜んでくれた。でも辞書で殴られた。前から思ってたんだけど、みこは照れ隠しに辞書で僕の頭だとか顔を容赦なく殴る。病人なのにこの力は一体何? でもそんなところも大好きなので別にいいんだけど。

 彼女は長い闘病生活とも明日でピリオドを打つ。奇跡か神の気まぐれ分からないが、死ぬと言われていた病気が完治したのだ。そのおかげでクラスにも復帰できると言う話だった。

「にしても、悠一。悠一は大丈夫なの?」

「へ? 何が?」

「勉強。悠一、確か進学だったわよね?」

「何でそんなどうでもいいこと覚えてるかな……」

 それはこの間の世間話の時に言った学校の報告のことを指しているのだろう。

「ダメよ怠けちゃ? 私はまだ完全な調子じゃないけど、悠一は元気なんだから」

 みこは今じゃすっかり見慣れたベットの上で僕の鼻面に人差し指を突きつけ言った。

「んー……」

 僕はから返事。だって僕達、まだ高校一年生だよ? まだまだ先は長いのに……。

「大体、悠一は馬鹿なんだから、人一倍努力しないとダメなの。分かってる?」

「はい……精進します」

「よろしい」

 彼女はお人形のような顔を笑顔にして答えた。みこの笑顔は可愛いな……。

「はいそこ。余計な考えを入れない」

 どごっ、と辞書アタック。今回は英和辞書だった。こめかみにクリーンヒット。めちゃめちゃ痛い。

「みこ……痛いってば」

「そう? 大丈夫、愛の攻撃は悠一には痛くない筈だから」

「痛いよ!」

「ダメね。それは私に対する愛が足りないわ」

「あのね、物理的な攻撃と好きって感情の何の関係が」

「お黙り」

 僕の反論を今度は広辞苑を取り出し殴り黙らせた。さっきより分厚い分凄まじく痛い。かつての死ぬことを受け入れていたみことは違う。生きることを前提に毎日を笑顔で過ごそうと生きている、懸命に。

 理不尽すぎるけど、こういう関係をかれこれもう一年続けている。もうそんなになるんだ、とふと思った。世界破滅を回避してから、もう。

 去年の今頃、世界は恐慌状態に陥っていた。未曾有の巨大隕石がこの星にぶつかるという規格外のことが起きたからだ。今でもあれは夢じゃないかと思う。でも、それは回避された。

 その巨大隕石に、違う方向からやってきた隕石が宇宙空間でぶつかり、粉々に吹き飛んでしまったらしい。直撃は免れたものの、この星にもそれなりのダメージを受けた。

 そんな奇跡レベルのことを経て、この星の人たちは今日も再生に精を出している。

 僕たちはというと、当時病院を抜け出した彼女を彼女の親がとっ捕まえ、僕は重要参考人としてなんで課拉致された。何でもみこの病気は一度発病すると絶対治らないといわれていた現代の不治の病だったらしい……のだがみこは現にこうして笑顔で笑っている。それが、一番僕には嬉しい。

 ただ彼女が明るくなるにつれ、僕はみこに勝てなくなってきたのが最近の悩みだ。

「そうね。今日もサボったんなら一日中ここにいてね、悠一」

「そのつもりだよ、当然」

「で、ここで私が勉強みてあげる」

「……それは遠慮したいかな」

 みこの成績は僕より遙か上。学校に来ていないのに授業をしている僕より頭がいい。しかも教え方も上手くて分かりやすい。だけど僕は勉強嫌い。勘弁願いたい。

「さて、冗談はさておき、本題に入るわね」

 とみこは言った。

「この一年、悠一には色々なものをもらったわ。改めて、お礼を言わせて。ありがとう、悠一」

「え? そんな、僕は何も……」 

 今日は彼女から話があると聞いてきたのだが、どうやらお礼を言いたかったらしい。ベットの上で上半身をまげてお辞儀した。僕は困惑。

「別に、僕は当たり前のことしただけだし」

「それでも、挫けそうになった私の心を支えてくれたのは悠一の存在なの。それは紛れもない事実よ」

「だけど……」

「悠一、こういうときは素直に気持ちを受け取るものよ」

「……分かった。どう、いたしまして?」

「何で疑問系なの?」

 クスクスと彼女は笑う。僕もつられて笑った。

「そうだね。みこ、この一年、ほんとよく頑張った。お疲れ様」

「……大分疲れた。だけどもうあんな苦しみは味わうこともないと思うと嬉しいわ」

「……」

 この一年、みこは本当によく頑張った。弱音も吐かずにひたすら戦ってきた。一緒に青空の下に行ける、その日を夢見て。窓から見える、今日のような蒼穹はこの島では滅多に無い。明日も晴れるといいな。

「明日退院して、手続きしたら私も学校の一員になれるのよね。まぁ、私には悠一がいるんだし大丈夫よね」

「え?」

「学校には行きなれてないし、フォロー頼むわよ悠一」

「……はいはい」

 みこの想像する学校生活はどんなものだろう。僕は一緒にいてそれを一緒に体験できればいいなぁ。

後書き

未設定


作者 Free Space
投稿日:2011/11/26 16:38:40
更新日:2011/11/26 16:38:40
『青空の向こう側へ』の著作権は、すべて作者 Free Space様に属します。
HP『未設定

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