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作品ID:1036
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月より参る

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

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目次

*1*



 ザシュッ

 僕が放ったボールはきれいなこうを描いてバスケットゴールに収まった。

「いいじゃないか今河」

 コートサイドにいた1年4組担任の園田先生が大声で叫んだ。 

 園田先生がバスケットボールのコーチをやっていて(園田先生が無理やり)部活の仮入部に来たのだ。

「体力テストを見ていて運動神経がいいとは思ったがまさかバスケまでできるとわな。どうだ、バスケットボールに入部してみないか?」

 言われるとは思っていたが単刀直入に本題に入った先生の顔をおもわず凝視してしまう。

 が、フッと視線を緩めると

「すみません。家の事情があるので」

 と言い残し180度向きを変えると出口へ向かった。



「上手いな?あの1年」

「ああ、今河 咲也君よ」

「お、マネージャー。なに、知り合い?」

「ううん。あの子結構有名よ。頭もよくて中間で上位組。何よりあの整った顔」

「でも冷たそうだったぜ」

「そこがもったいないのよね?。超絶クールで女バスの子に聞いたんだけど小学生の頃も1度も笑ったところ見たことないんですって」

「お前、情報はえーな」

「まーね」





 体育館で噂されていることも知らず、僕は裏庭のベンチでぼ??っとしていた。

 家の事情なんて嘘だ。

 ただ、こうしているのが好きだから、ただそれだけだった。

 グラウンドのほうからランニングのかけ声や、バットでボールを打つ音が聞こえる。

 裏庭という箱の中で過ごす時間は家にいるよりも楽しかった。

 正直、家に帰りたくなかった。

 あの場所には自分の居場所が無い気がして・・・

 心ここにあらずといった感じでボーっとしていた僕を現実世界に引き戻すかのように、放送が流れた。

『完全下校時刻です。』

 帰りたくない・・・

 そんなことを思っていた矢先で、足が重く感じた。

(帰ろう。早く帰って宿題して早く寝よう)

 そんなことを考えていると

   ドンッ!

 誰かにぶつかった。

「すみません」

 僕は悪くないが、反射的に謝ってしまった。

 そのまま過ぎようとしたが

(ムラサキの・・・髪の女・・・)

 振り返りこそはしなかったが、暗記していたはずの生徒名簿にその髪の人がいなかったことを考え不審に思った。

(なんだろ・・・。覚え忘れ?)

 そのままふりかえらず、歩いて行った僕は、彼女が振り返りある言葉をつぶやいたことに気が付かなかった。





「みつけた・・・」











後書き


作者:
投稿日:2012/07/10 21:57
更新日:2012/07/10 21:57
『月より参る』の著作権は、すべて作者 茜様に属します。

目次

作品ID:1036
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