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作品ID:1316

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「ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)」を読み始めました。

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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第二章「ゴスラー市」:第14話「パーティ結成」

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第2章.第14話「パーティ結成」



 夏至祭の翌日、アントンたちと五人でパーティを組み、採取クエストを受ける。

 今日は東の草原で採取を行い、昼過ぎに東の森に入ってグリーンクロウラーを狩ることにしている。

 草原での採取は順調に六種類の薬草を手に入れることができ、予定数をクリア。

 森に入って、グリーンクロウラーを探す。

 東の森のグリーンクロウラーのいる場所はなんとなく判るようになってきたので、一時間ほどで一匹目を見つけることができた。



 アントンたちには絶対手を出さないように指示し、いつものようにファイアボールで仕留めていく。

 アントンたちは初めて実戦での魔法を見たようで、少し興奮気味だ。いつもはあまりしゃべらないキャサリンが「タイガさんすごいです! すごいです!」と叫んでいるし、人見知りが激しいベリエスも「魔術師ってかっこいいすね! すごいっす!」と言っている。



(中学生にこんなもの見せたら騒ぐのは当たり前なんだよな)



 でもここは危険な森の中、年長者として注意しておく必要がある。



「お前ら、騒ぐな! ここは魔物のいる森の中だぞ!」としかった後、



「グリーンクロウラーならいいが、キラーホーネットなんかが襲ってきたら、カバーできないんだ。死にたくなければ、もっと気を引き締めてくれ」と理由も説明しておく。



 俺は中学校の教師のようだと自嘲気味そう思っていた。

 四人とも状況を把握したのか直ぐに謝ってきた。

 そのまま、グリーンクロウラーを五匹ほど倒して、草原まで戻る。

 まだ、指導する気はなかったのだが、まだ日が高いので、なんとなく四人の戦闘を見てみたくなった。



 この辺りにいる弱そうな魔物を探してみる。

 遠くの方に懐かしのホーンラビットが一匹いた。

 四人にホーンラビットがいることを教え、狩りを始める。

 まず、四人には草に伏せさせておき、俺がホーンラビットを引っ張ってくる作戦だ。



 ホーンラビットはこっちが一人だと思い、勢いよく突っ込んでくる。

 一旦、剣で捌いたのち、少しずつ四人の方に誘導していく。

 四人の近くまで誘導できた時、俺の合図で四人は一斉に立ち上がり、ホーンラビットに襲いかかる。



 彼らが戦い始めた瞬間、一目で戦闘経験がないことが判った。

 四人ともへっぴり腰でホーンラビット一匹に翻弄されている。

 俺は致命傷を負わなければ、少々ケガをしてもいいと思っていた。

 少々痛い目に遭った方が覚えは早いだろう。

 ケガをしたら治癒魔法で直せばいいと結構スパルタな考えを弄びながら、彼らの戦いを見ていた。

 十分近く戦っていたら、ホーンラビットの方が疲れてきたのか、逃げだそうとし始めた。

 彼らの初獲物を逃がすのはかわいそうだったので、ホーンラビットの逃走経路を塞ぐように回り込む。

 ホーンラビットも逃げ切れないと思ったのか、ダニエラに向かって決死の突撃をした。



「キャア!」とダニエラの悲鳴が草原に響く。



 彼女は避け損ない、角が掠って、太ももに大きな裂傷を負ってしまった。

 心配になったアントンが急いでダニエラに近づき、「大丈夫か」と声を掛けている。

 アントンは隙だらけの背中をホーンラビットに見せた格好になり、ホーンラビットはアントンの後ろから体当たりを掛け、アントンは見事に転倒してしまう。

 このままでは逃げられるなと思ったので、ファイアボールで攻撃を掛けて弱らせ、ベリエスが弱ったホーンラビットに止めを刺していく。

 俺はダニエラとアントンに近づき、治癒魔法を掛ける。



 二人は何が起こっているのか直ぐにはわからなかったようだが、みるみる治る傷を見てようやく何が起こっているのかを悟ったようだ。



「タイガさんって、治癒魔法も使えるんですか!」とキャサリンが聞いてきた。



「まあ、使えるが、それ程高度の治癒魔法は使えない。それにケガをしたら何時でも俺に治してもらえるなんて思うなよ。それより、ホーンラビットの討伐証明部位の切り取りと毛皮、肉の処理をしてしまうぞ」



 ファイアボールでかなり焦げてしまったが、何とか毛皮と肉を処理し、討伐証明部位である角を切り取る。

 彼らの戦い方を見る限り、今日はこれで帰ったほうが良さそうだと判断し、町に戻ることにした。



 ギルドに本日の成果を報告。七十Sの報酬を得たので、俺の取り分である四十九Sを受け取る。なし崩しに指導を始めてしまったので、最後まで面倒を見ることにした。



「訓練場に行くぞ。その後はドラゴン亭で今日の反省会をやる」と俺が言うと、「「わかりました!」」と四人は声を揃えて答える。



 俺はこっそりため息を吐き、本当に中学校の部活の指導教諭になったようだと考えていた。



 訓練場で四人の動きを一時間ほど見る。

 戦闘のときにも気になったのだが、四人の装備が全員同じでショートソードと革鎧のセットということだ。

 比較的体の大きいベリエスと体が小さいキャサリンが全く同じ装備というのに違和感がある。たぶんギルドから借金をした後にわけもわからず四人とも同じ装備にしたのではないか。

 戦い方を見る限り、パワーファイター系のベリエス、アタッカー型のアントン、スピード霍乱型のダニエラ、おっとりして前線向きではないキャサリンといった感じだ。



 六時くらいになったので、訓練を終わり、それぞれ宿に一旦戻り、反省会会場のドラゴン亭に集合することにした。



 俺はドラゴン亭に戻り、主人のマルティンに「あと四人分の晩飯の用意はできるかい」と聞くと、「用意はできるが、今日は新年の特別料理だから一人銀貨二枚になるが、いいか」と言ってきた。

 大した金額でもないので「それで頼む」といって、食堂で四人を待つ。

 しばらくすると四人が到着し、テーブルに着く。

 今日の料理は、腸詰のスープと塩漬け豚肉の炙り、これに簡単なサラダとチーズがつく。

 なるほど、いつもよりかなり動物性タンパクが多い。昨日の残りをうまく使っているが、かなり豪華な夕食だ。飲み物にエールを人数分頼んでおく。

 マルティンがエールを持ってきたので、食事を取りながらの反省会を開始する。



「まずは初の戦闘お疲れさん。ダニエラとアントンは初負傷のおまけも付いたが、何はともあれ、無事に帰って来られたことは目出度いことだ」



 四人とも神妙な顔をしているが、料理とエールが気になっているようで反応が薄い。



「あのぉ、これを頂いてもいいんですか?こんな料理久しぶりなんで手をつけていいものか……」とアントンがおずおずと聞いてくる。



「初の討伐成功祝いだ。安心して食べて飲んでくれ」というと、四人は一斉に食べ始める。



「食べながらでいいんで聞いてくれ。今日一日お前たちと行動を共にしたが、今のままでは討伐クエストを受けることは無理だ。なぜだかわかるか」と四人に聞く。



 珍しくベリエスが「僕たちが弱いすぎるから?」と答える。



「いいや、弱いのも問題だが、それ以外の話だ。まず、今日俺と一緒に行動すると聞いた後に何か準備をしたか」



 アントンたちは考え込み、ダニエラが「武器と防具の手入れはしました」と答える。



「俺が言いたいのは、東の森に行くことがわかっていて、情報を仕入れたのかということだ。クエストで行く場所にいる魔物の情報をちゃんと仕入れたのか。東の森に入るかもしれないのに、草原と同じ装備だったし、草原で出会う可能性が高いホーンラビットの特徴や弱点をまるでわかっていない。これじゃ死にに行くようなもんだ」



 四人とも食べるのを止め、黙っている。



 俺は続けて、「まずは、この辺りの魔物の特徴をしっかり頭に叩き込んでおくこと。自分の能力でどう対応するか考えておくことが大事だ。例えばホーンラビットだが、動きが直線的だ。前に動く時は早いが、横への動きはそれほどでもない。突っ込んできたら、少し横にずれるだけで簡単に避けられるし、弓があればかなり楽に倒せる魔物だ」



「あの、どうやって調べたらいいんでしょうか?」とキャサリンが聞いてくる。



「冒険者や守備隊の連中に聞けばいい。ただで教えてくれるかどうか知らないが、雑談中にでも話を振れば勝手に教えてくれることが多いはずだ。そこは自分で工夫してくれ」



 わかりましたと四人がしょんぼりして答える。

 凹んでいる所で悪いが、もっと凹んでもらうことを言わなければならない。



「これだけじゃないぞ。森に入った後の周囲の警戒の仕方が悪い。草原は自分の目線より下を見ていればほぼ問題なかったが、森は木の上からも襲ってくる魔物がいる。今日は誰も上に警戒していなかっただろう。東の森の危険な魔物でジャイアントスパイダーがいるが、こいつは木の上から攻撃を掛けてくることが多い。気付かないうちに後ろを取られ糸で動きを制限され、毒で止めを刺されるなんてことが起こりうるんだ。状況に応じた警戒をしないと思わぬところでやられてしまうんだ」



 更に止めを刺すべく、「最後にホーンラビットとの戦闘の時だ。ダニエラがケガをした時、アントンは直ぐにダニエラに駆け寄り介抱しようとしただろう。好きな子がケガをしたら、そうしたくなるのは当たり前だが、その後どうなった」



 アントンは戦闘を思い出し、少し震えている。



「お前自身も攻撃され、下手をしたらあそこで死んでいたかもしれない。戦闘中は感情を極力捨てろ。あの場合、ダニエラの状況を見て、直ぐに助けが必要かどうかを判断する。直ぐに死ぬケガではないことは見たらわかるはずだ」



 四人とも萎れたようにしょんぼりとしていく。



「敵の攻撃を受ける可能性があるなら、安全な場所に移送、そうでないなら戦闘を継続してダニエラの分までみんなでカバーするように動くべきだ。今回は俺がいたから戦力的に余裕があって大事に至らなかったが、戦力が拮抗している時に勝手に戦線を離脱すると一気に負けてしまうことがあるんだ」



 俺は偉そうに言っているが、自分でできるかどうかの自信はない。

 だが、このままの仲良しグループでは、強い敵に会った時に冷静な判断ができず、デニスたちのように全滅してしまうだろう。

 俺はあんな思いはもうしたくないのでここは強く言うべきだと思っていた。

 俺の言葉にアントンは完全に項垂れている。自分の行動が完全に裏目だったことを認識したのだろう。

 この話題を引っ張りすぎると萎縮してしまうので、話題を変えてやろう。



「ところで、お前たちの装備だが、自分の得意なものを選んでいるのか? どうもそう思えないが」



「えっと、最初にギルドでお金を借りた時にできるだけ安くて丈夫な装備を選んだらこうなりました。その時には自分の得意な武器なんてわからなかったから……」



「まあ、そうだろうな。だが、今のままの装備だとかなりきついぞ。パーティの経験がない俺が言うのも変だが、もっとバランスを取った方がいいんじゃないか」



「今まで戦ったことがなかったからわからなかったけど、私もそう思ったわ。この剣は重すぎて私には使えないもの」とキャサリンが泣きそうになりながら、そう話す。



「ベリエスとアントンはとりあえずこのままでも問題なさそうだが、ダニエラは槍系、キャサリンは使えるなら弓にした方がいいんじゃないか」



「私は弓も使ったことないし、弓って一番安いショートボウでも結構高かったし……」



 キャサリンは完全に涙目でそう話す。



「ショートボウは練習すればそんなに難しくないはずだ。俺も使ったことがないから何ともいえないが、少し前に弓の名手と一緒に狩りをしていたから、少しは教えられるかもしれない。ショートソードを売れば中古のショートボウと矢を何本か買えるんじゃないか。明日見に行ってみよう」



 泣いている女の子は苦手だし、この雰囲気も何とかしたいと思い、そう提案する。

 キャサリンは鼻をぐずぐずさせながら、頷いている。



「私の槍についても教えてほしいんだけど」とダニエラも槍に代える気でいる。



面倒になったので、「ショートスピアぐらいなら買えるだろう。一緒に見てやるよ」といい、結局明日はダニエラとキャサリンの武器の購入と訓練の日になってしまった。

 とりあえず今日の反省会はこの辺で終わっておこう。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/12 22:46
更新日:2012/12/12 22:46
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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