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炎に従う〈はずの〉召喚獣

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


二人の問題点。

前の話 目次 次の話

 黄色い閃光がオーティスの中から発光。それらは各グループに降り注ぎ、影響を与えた。



 フィニッシュ。それもこちら側に有利ではない終わり方で。

 だけどこんなときでも自分の頭は回転していた。



 「アルファドットシステム、解除」

 〈リルディア!? この状況下でシステムを起動すればあちら側にも影響があるのは見えているだろう!〉

 無線機から流れ出る声が直接、耳や頭に響く。推定容量、79キロバイト。



 「違う。システムモード、フォロー。一、四区画にいるグループはすぐ戻ってきて。なんだったらフォーススフィアが壊れてもいい」

 フォーススフィアを護る立場にある自分が言っていい言葉かどうかは疑わしかったが、この際、オーティスとオーティスに随伴している人間を倒す事。それが最優先事項。



 「フェクト。貴方は先ほど私に言った。あっちにも影響が出ると。だけど、範囲を特定しさらに言えば……あなた達をギリギリまでこちらに寄せる事でそれだけ早くシステムの影響を受ける。少なくともオーティスたちが受ける可能性は低くなる」

 〈分かった〉

 それからフェクトの声が聞こえたのはキュリスの言葉が耳に入った後だった。



 〈生体コンピュータ・リルディアに問う。アルファドット・システムの推定範囲はどれくらい。それと三区画にいるグループが先ほど起こった閃光の影響をかなり受けている。これに対しては?〉

 つい先ほど聞こえたキュリスの声とはまったく違っていた。要するに、今の自分はフォーススフィアを警護しているキュリス、と言いたいのだろう。

 それぐらいなら自分だって分かる。



 「私は一、四区画にいるグループ、と言った筈。悪いけどそれ以外のグループの安否は問わない。それと忘れた? どの道、アルファドット・システムを使う。結局のところ彼らは助かる事になる。因みにシステム範囲は推定も何も、グループを纏うような感じと設定してあるから。システムが暴走しなければそれ以上、範囲は広がらない」

 〈そう〉

 ほんとに。キュリスは欲張りだ。まるでアクアマリンをそのまま凝縮して閉じ込めたみたいな目を、少し見方を変えれば冷たい目をしてるのに、戦場では必ず赴いたメンバー全員と帰還しようと考える。だからキュリスは甘い。欲張りで。

 でもそんなキュリスだからこそ、仲間を見ることができるのかもしれない。仲間全員を見ることができるキュリスは私の出す指示を聞き取り、すぐさま実行に移せる数少ない人でもある。まあ彼女は人ではないのだが。

 寧ろ、オーティスと同類。キュリスも召喚獣であるから。



 「フェクト。聞こえる?」

 〈リルディアか。もうすぐフォーススフィア近辺に到着。推定予測時間4分〉

 「速いね。さすがフェクト。じゃあ次の指示を与える。もう既にスカラに頼んで空から一斉射撃をしてもらうことになっているから、フェクトたちがこちらに着いたらすぐに連絡。連絡後は待機。いいね?」

 〈オーケー。キュリスには?〉

 「これから伝えようと思う。何? フェクトが伝えたいの?」

 〈いや、リルディアの方はアルファドット・システムの準備に忙しいかな? と思ったりして〉

 このフェクトはフェクトで色々と問題点がある。でもフェクトもキュリスもその問題点は「性格」なので訂正する気にもなれないし、訂正しようとも思わない。

 だけどやっぱり訂正したいな。とか思いたくもなる。



 「そう? じゃ、お願い。あとキュリスには追加事項があるからデータを送る。送信準備」

 〈リルディアのペースには追いつけない。少し待ってくれ〉

 「分かった」

 フェクトの問題点。それは二つほどある。まず一つ目。私はフェクトに以前、こう言った事がある。

 「何で、髪、縛んないの」

 実は私が出す指示というのはかなりハードな指示を含むため、髪が長い人には私が直接髪、縛ってなどと言っておく。それで大抵の人は縛ってくれるのだが、このフェクトだけは縛ってくれず。私が送受信する情報の蓄積場所であるゴーグルで抑えているから大丈夫、とか言う始末。

 この件に関しては私も諦めたので大丈夫、なことになっているが。

 二つ目。フェクトにはどうも精神的にキュリスと似たところがあることが私の情報で分かった。

 キュリスは戦場でも常に味方のことを案じ、さらに言えばキュリスはその戦場へ赴いたメンバーと帰還しようとする。

 フェクトは味方全員ではなくとも自分が居るグループ全員を自分ひとりで護ろうとする。まるで何か、また失うのは嫌だというように。

 要するにキュリスとフェクトは似たようなところがある。そして二人の問題点とは底にある。二人共、精神的に似ている。少しだけだとしても。



 〈リルディア。フェクトから聞いたけど、って凄い顔つきだよ? どうしたの〉

 「あ。キュリス。いや。なんでもないから。すこーし、少しだけね? 過去を思い出して決してよろしくないような色に心が染まっちゃったから」

 〈あ、そう? ならいいんだけど。無理していた、なんていう理由ならすぐさまフォーススフィアを警護する者として前線から下ろすつもりだったんだけど〉

 冗談はやめて。と思った。大体、生体コンピュータである私が前線へ赴かなかったことなどない。

 常に前線へ赴き、データを採らされさらにはバージョンアップだの……。

 要するに前線に、この生体コンピュータ・リルディアが居なかった事などなかったのだ。



 「はあ。キュリス? フェクトから伝えられた私からの追加事項。何だった?」

 〈私が召喚獣形態になり、一気にオーティスを叩く〉

 「よし。オーケー」

 〈それと私もそっち行くから〉

 「分かった。そう思ってシステムアップロード共にいつでも起動可能」

 〈有難う〉

 それっきり、キュリスからもフェクトからも通信はなかった。

 それでいい。システムを使う直前に通信をする奴なんて要らないからね。



 

 「アルファドット・システム、起動」

後書き


作者:フェクト
投稿日:2010/02/01 10:39
更新日:2010/02/01 10:39
『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。

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