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作品ID:1973

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焦熱の魔

小説の属性:一般小説 / 現代ファンタジー / 感想希望 / 初投稿・初心者 / R-15 / 連載中

前書き・紹介

魔戒騎士の男と、魔戒騎士の血を引く女。
その出会いは何をもたらすのか……


第一話 邂逅

目次

 深夜――人のまばらな繁華街を、一人の女性――『逢河 ノア』が
 食材の入った紙袋を抱えて歩いていた。

 その服装は比較的 凝ったデザインのジャケットにシンプルなジーンズ、
 腰にはウエストポーチと、あまり女性らしさを意識させないものだった。

「うーん……特徴が特徴だから、情報は集まりやすいと思ったんだけどなあ……」

 ――服装だけなら『買い物帰りの一般人』で通じるだろうが、
 その背には鞘入りの細身剣が背負われており、彼女が普通の女性ではないことが伺える。

「……まあ、くよくよしてても仕方ないよね。
 美味しいものでも作って食べて、それから考えよ――」
「ぐあっ……!?」

 独り言を言い終えるかどうかのところで、不審な呻き声がノアの耳に届いた。

 彼女が その声に反応して後ろを振り向くと――
 ナイフを持った男の背中と、胸部を押さえて その場に座り込む青年の姿が視界に入った。

「(通り魔……!?)」

 即座に状況を理解したノアは、背負っている鞘入りの剣を手に取るなり
 自分に背を向けている男に駆け寄り、その首元目がけて殴りかかった。

 ――がっ、と鈍い音が響く。

 だが男は その一撃を意に介することなく、振り向きざまノアの眼前にナイフを突き出してきた。

「……っと!」
(これで平気でいられるなんて……人間じゃ、ありえない)

 洗練されているとは到底言いがたい その一撃を、ノアは難なく かわす。

「この……どいつもこいつも、俺の邪魔しやがって……!」

 ナイフの男は形勢不利を悟ると恨み言を並べつつ、人のそれとは思えぬ跳躍力を発揮して
 その場から姿を消した。
 
 そして――それを追うように動く人影が、ノアの目に入る。

「(あの男、やっぱり……ん、あれは――)」

 ナイフの男を追う人影を気にしつつも、ノアは青年の手当てに入った。

##

「――あいつから返り血、浴びなかった?」

 ノアはウエストポーチから脱脂綿、消毒薬、包帯を取り出しつつ、青年に問いかける。

「返り血? ……いや、それはないな。
 あいつが いきなり目の前に現れて……いきなり切られたから」
「そっか……なら、『そっち』の心配はなさそうだね」
「……?」
「ん、こっちの話」

 青年はノアの言葉に疑問の表情を浮かべるが、
 彼女は その間にも てきぱきと手当てを済ませていく。

「……よし、こんなところかな。
 どう? 動けそう?」
「ああ……出血のせいで ちょっとふらつくけど、問題はなさそうだ」
「外傷はそれほどでもなかったけど、念のために後で病院で診てもらってね」
「分かった、ありがとう。……えーと」
「『逢河 ノア』だよ。
 この繁華街の服飾店だったとこが、今の住まいなんだ」
「……ああ、総合店が出来て潰れたっていう あの店か。
 ――俺は『三代 統真』。
 近いうちに、改めてお礼に伺うよ」

##

 一方その頃――人里離れた森の中では、夜色の装束を纏った長身の少年が森を駆けていた。

『魔導火は まだ使えそう?』

 幼い少年の声は、長身の少年の傍ら……ではなく、その首元――身に着けているチョーカーの装飾部分――から発せられていた。

「今のところ まだ余裕はあるが、現状を考えれば無駄遣いはできんな……。
 あの女の行動で、魔導火を使うことなくホラーを見破ることができたのは有難い」
『……にしても、ホラーに抵抗する一般人なんて初めて見たよ。
 普通あんな状況になったら、驚いて固まるか逃げ惑うかの どっちかだろうし』
「ああ――ん、近いな。行くぞ、ランディ」

 長身の少年は話を打ち切ると、手甲の仕掛けを操作して臨戦態勢に入る。

 そして手近な木の枝に飛び移ると、それを踏み台にしてより遠くへ跳躍し――ナイフの男を追い越す形で
 その場に着地した。

「――ひいっ!?」

 逃げ道を塞がれたうえに彼の得物である手甲の爪先を喉元に突き付けられて、
 ナイフの男は情けない悲鳴を上げながら自身の得物を取り落とす。

「ななななな、なんで そこまで執拗に俺を追っかけてくんだよ!?
 お前には関係ねえだろ!?」
「ホラーの事はホラーに聞くのが早いと思ってな。
 ……俺は、焼け焦げた臭気を持つホラーを探しているんだが」
「そ、そんな奴 知らねえよ。
 知らねえから、その物騒なモンを下ろせ」
「一般人に手を上げたお前が人の事を言える立場か」

 これ以上の収穫は無いと判断した少年は得物の爪を下ろした。

 男は緊張が解けたことで大きな溜め息をつくと、少年に背を向けて
 そそくさとその場を通り過ぎようとする。

「……にしても あの野郎、親無しでロクに働いてもねえくせして大学に顔出しやがって」
「…………」

 『親無し』。

 その単語を聞いた少年の眉が すっと上がり……無表情のまま、左手の爪を構えたが、
 彼に背を向けている男はそれに気付かない。

 そして――男が一歩 踏み出したのと同時に、少年が繰り出した爪の一撃が男の首を貫いた。

「なに、を……」
「ふん……憑かれる人間が屑なら、憑くホラーも屑だな」

 少年は淡々と言い放ち、爪を引き抜いた。
 激しく血飛沫が舞ったのも束の間、男の姿は一本の短剣に変化する。

『……ロウエンさま、お疲れ様』
「ああ。
 ……好きで親無しになった者など、いないだろうにな」

 『ロウエン』と呼ばれた少年は、懐から懐紙を取り出して爪に付いた返り血を拭き取る。
 そして地面の短剣を拾おうとしたところで 背後に気配を感じ、その方向へ顔を向けた。

「……人間、か」
「魔導具に、その短剣……やっぱり、きみは魔戒騎士だったんだね」
「魔導具と魔戒騎士どころか、
 この短剣の存在まで知っているとは……お前は ただの一般人ではなさそうだな」
「父さんと兄さんが魔戒騎士だったからね、それに関する知識だけはあるんだ」
「なるほどな。
 それで、俺に何の用だ」

 その人物――ノアは若干迷いを見せたが、それでも自らの目的をロウエンに はっきりと告げた。

「敵討ち。
 でも私は魔戒騎士じゃないから、ホラーとは戦えない。
 それ以外のこと――情報収集とか ちょっとした手当てとかなら、それなりに出来るけどね」
「つまり……俺に敵討ちの手伝いをしろ、と」
「虫のいい話だとは思うけど、ね。
 結局のところ、きみだけに危険なことを押し付ける訳だし」
「ふん、魔戒騎士の務めが危険なのは承知の上だ。
 それで、そのホラーの特徴は?」
「真っ先に挙がるのは『臭い』だね。
 生き物が焼ける時の……あの、独特な臭い。
 ――あれは、十年経った今でも忘れようがないよ」

 記憶を辿りながら ゆっくりと語るノアの言葉に、ロウエンとランディは はっとする。

『(生き物が焼ける臭いって……ロウエンさま、もしかして……)』
「(どうやら俺達と この女、目指すものは同じようだな)」

##

「(あの少年が奴を見逃したならば、俺が斬っていたところだが)」

 ロウエンとノアが その場を去った後、それまで木陰で気配を殺していた一人の男が姿を現した。
 暗色の服装に対して金髪碧眼、更に独特なデザインのイヤーカフと、一際 目を引く外見である。

『ふーむ……あの童が件の魔戒騎士かのう?』
「『突如連絡を絶った』という点が一致している以上 可能性は高そうだが、
 確たる証拠は まだ得られていない」
『証拠が無ければ認めるに値しない、か。
 ……まったく、組織所属というのは得てして難儀なものじゃな』
「ぼやくな」

後書き

次回は幕間話として、少年を除いた面々の掘り下げを……と思っていますが
時間がかかりそうです。もしかしたら本編を先に上げるかもしれません。

次回の話、端末がトラブってリセットした際に小説用アプリで書いていたSDカード内のデータも前のものに巻き戻ってしまったためか、後から書き上げた3000文字分がパーに……。゚(゚´Д`゚)゚。


作者:もふ
投稿日:2018/02/04 15:25
更新日:2018/02/15 21:58
『焦熱の魔』の著作権は、すべて作者 もふ様に属します。

目次

作品ID:1973

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