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作品ID:769

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「欠片の謳 本当の欠片の謳」を読み始めました。

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欠片の謳 本当の欠片の謳

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


硝煙と銃声の謳

前の話 目次 次の話







「……」

「文句を言いたいのは分かります。ですが、今はそんなことを言ってる場合ではないです」

「ああ、分かってる」



 本部からの呼び出しを受けた、というか銃を取りに行ってそのまま現場に送り込まれた。こんなことになるなら晩飯の買い物を先に済ませるべきだった、と時哉は後悔した。



「相手は?」

「7名。武装は何時も通り打撃系と刃物系のもん。銃を持っている奴等はいない。今、立て篭もっている扉をぶち抜くのに、他の連中が行ってる」



 とある大通りの大型店舗。そこで『野良』による立て篭もり事件が発生した。簡単に言えば『野良』の連中が強盗に入ったのだが、運悪くそこに警察がいて、そこで大規模な戦闘が起きたのである。警察側に死者こそ出なかったが重体者が3名ほど出た、と二人は聞いている。警察の手に負えないとのことで、『野良狩り』が出動して現在にいたる。二人は野次馬の向こう側の会社の社内で無線連絡していた。



『……扉を破壊する準備が出来たで。栗生、天音。中の制圧頼むわ』



 ノイズ混じりの似非関西弁が無線から聞こえる。がちゃりと、霞夜は鞄から銃をみんな取り出した。同じく、時哉も。三つのホルスターに、銃を全部入れて、車を降りる。



「行くぞ、霞夜。地獄の始まりだ」

「毎度のうたい文句ですね時哉。地獄なら、私達のいるこの街がとっくに地獄の3丁目ですよ」

「そうだな」



 霞夜の笑えない冗談に、愉快そうに顔をゆがめる時哉。だが、時哉は急に真面目な顔になって言った。



「だから俺たちがいる。あの無法者に、法ってもんを教え込んでやろうかね…ま、授業料はてめえらの命ってやつで」

「同感ですね。私達は正しい。己を守るために他者を殺すなど、この街には不要な理屈です。ここは、街。戦場ではありませんから」

「ああ」



 さあ、行こうぜ。この世の果てで起こる最低最悪の殺戮ショーってやつをやりにな。

 ええ、了解です。相棒。













「…畜生、そんなに俺たちを殺して楽しいかよ!」

「ああ、楽しいさ! てめえらみてえなテロもどき殺っても何とも思わねえよ俺は! 残念だったな!!!」



 ―――ダァンッ! と時哉の銃が火を吹く。叫ぶ『野良』の頭をブッ飛ばした。



 どちらが悪魔か分からない。どちらが正義か分からない。



「あたし達は…ただ生きたいだけなのに…」

「なら人間社会に適合でもなんでもして下さい。それも出来ないくせに生きたいなどと抜かさないで欲しいですね」



 ―――パン。静かに鳴る銃声、悲鳴も上げずに倒れる『野良』



 自分の後ろには守るものがあるから、だから殺していいのだろうか。自分の命を守ることと、他者の命を守ること。一体何が違うというのだろうか。そんなこと時哉も霞夜も分からない。だけど、確かに自分は守れる力がある。キバを持たぬ人々のキバになれる。争いとは無縁の人たちのため、自分たちは硝煙と銃声の中で戦い続ける。殺し続ける。そして、平和に生きられる人たちが確かにいるのだから。



 二人の拳銃から硝煙が立ち上る。ふぅ、と息で掻き消した。銃口と視線の先には、脳みそをぶちまけて死んでいる、社会的には生ゴミ。鼻が曲がりそうな凄まじい死臭を撒き散らし、床に盛大に血溜まりを作り出し、四肢を投げ出して倒れている。



「皆さん、正面に扉が開いてます。速やかに避難してください」



 霞夜の避難勧告で、人質及び巻き込まれた人々が次々脱兎の如く飛び出していく。時哉達を見る目は英雄をみるような、そんな視線。恐れは少しあるが、それ以上に感謝の念が強い。霞夜は銃の安全装置を掛けて、ホルスターに戻した。



「…撃ち漏らし、一切無し。全て排除完了。時哉、そちらに撃ち漏らしがいますか?」

「いない。問題ない。確かに全滅してる」



 時哉は腰の無線機を取り出し、周波数を合わせる。相手が受信したことを確認し、連絡事項を告げる。



「こちら栗生。中で立て残っていた『野良』7名、全て殲滅完了。撃ち漏らし一切ありません。一般市民も無事避難しました。怪我人はいません」

『こちら本部。ごくろうだったな二人とも。書類はこちらで纏めておく。後でサインしといてほしい。これで仕事はおしまいだ。本当にごくろうだった。後はゴミ処理班が現場に向かう』

「了解。速やかに撤退します」



 通信を終えて、死体を見下げる。みな、悔しそうな顔で死んでいる。時哉は、路傍の石ころのように見て、歩き出す。途中、死体が転がっていたが、無関心のように思い切り腹を蹴飛ばし、退かした。転がった先で死体が更に大量の汚物を垂れ流し始める。



「霞夜。帰るぞ。早く帰って、ばあさんの晩飯作るんだろ?」

「そうでした。すいません、銃の調子がおかしくて」



 床に座っている霞夜に声を掛ける。返答からに、霞夜は銃を簡易メンテをしていたようだ。凄い速さで銃を元に戻している。立ち上がり、時哉に駆け寄る。こんな非日常の中で日常会話が出来るのも、この仕事を長年やっているからだろう。



「秋刀魚だっけ? 今の時間帯で打ってるかねぇ」

「多分大丈夫です。先程打ち合わせ前に店長に連絡しておきました。秋刀魚を3匹、別にしてもらってあります」

「すげえな、ほんと。頼りになるわ。サンキュー」

「お礼には及びません。私も食べますから」



 笑いながら二人は何事もなかったように出て行った。まあ二人にとってはこれが日常なので当たり前だが。



しかし二人が作ったのは血塗れのゴミと硝煙の篭る空間は悪夢そのものだった。

後書き


作者:FreeSpace
投稿日:2011/06/14 16:52
更新日:2011/06/14 16:52
『欠片の謳 本当の欠片の謳』の著作権は、すべて作者 FreeSpace様に属します。

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